難航する事業創出プロジェクト。成果につなげるためのポイントとは
業種
大手部品製造業D社
規模
売上5,000億円
導入効果
- 定義した「STP」に基づいたテストマーケティングで、市場のニーズを把握できた
- 研修によってプロジェクトチーム全体のナレッジの底上げができた
- 新たな製品が生まれ、事業化への進め方が決まった
解決
視点を変える。すると自社ならではのマーケティング戦略にたどり着いた!
想定していたスケジュールが遅延し、一刻の猶予も許されなくなったプロジェクトチーム。そんな折、T氏は別の部署で働く同期からシンフォニーマーケティングの評判を聞きつけ、試しにオンラインセミナーを受講してみることにします。そこで語られた新市場開拓の事例から、まるで今の自分たちを見るような思いで聞き入り、「B2Bマーケティング」の手法に着目します。セミナーの講演資料をメンバーにも共有し、仲間を集めていきました。
こうしてT氏らの推薦により、D社のプロジェクトチームはまず試作品のターゲットを明確にするためのSTPコンサルティングの提案を受けました。その後、T氏がシンフォニーマーケティングにコンサルティングの依頼をすべく上層部に掛け合ったところ、すぐに承認をもらうことができました。上層部から見てもプロジェクトがうまく進んでいないことは明白だったのです。
3ヶ月ほどのコンサルティングの中では試作品の市場開拓のための議論を中心に行いました。まずシンフォニーマーケティングから指摘があったのは、製品ありきの固定観念で議論をしていることでした。自社の高い技術に絶対の自信があるD社は、競合との差別化要素を製品精度で比較し、製品の強みだけでターゲットを決めてしまっていたのです。従来の市場へのこだわりを捨て、改めて自社が提供する価値、市場が持つ課題を探ることも、製品の販売先や市場の将来性を発見する重要なポイントとなります。このように違う目線と、自分達には無い市場の情報を持つ第三者とディスカッションを重ねていくうちに、この試作品で狙うべきターゲットが明確になってきたのです。
このようにターゲットを「STP」のフレームワークで明確にしていきました。設定されたターゲットに対するキーメッセージと、どのように攻めていくかの施策も併せて提案を受け、プロジェクトメンバーも「決めなくては」と躍起になっていたプランが具体化されていく状況に安心しました。
ターゲットが決まると、最も優先的に狙いたい市場と自社との接点は殆ど無いのではないかという事実も同時に明らかになりました。しかしD社には元々非常に多くの製品群があり、常日頃、営業がお客様先へ訪問しています。T氏が調査したところ、狙うべき市場に深く入り込んでいる既存の製品があることが分かりました。その製品部門の営業に相談してみると、「試作品と既存製品を組み合わせて顧客に提案できるのであれば、相乗効果も期待できるかもしれない」と、保有する多くの名刺情報を快く使わせてもらえることとなったのです。これは幅広い製品ラインアップを持つD社ならではの強みと言えます。
こうしてマーケティングプランが決まり、まずはテストマーケティングとして実行における伴走支援を引き続きシンフォニーマーケティングに依頼することになりました。
「実際にキャンペーンを実行したところ、その成果は期待以上のもので正直驚きました。なにより、当社のシナジーを活かして別の製品と組み合わせた付加価値をつけられたことが大きいです。おかげで今まで縦割りの意識が強すぎて組み合わせでの販売を苦手としていましたが、今回、施策ではなくターゲットから設定したことが功を奏し、同じターゲットに対してソリューションで提案できるようになりました。今思えば、もっと早い段階でプロの手を借りればよかったですね」(T氏)
こうしたターゲット設定やプランニングにより、事業化を進める流れに手ごたえをつかんだT氏たちチームメンバーは、別の試作品や素案レベルの新サービスにも適用してみようと動き出すことにしたのです。また、こうしたプラン立案までの流れを将来的に横展開していくことを見越して、コンサルティングの際に指摘のあった「自社メンバーのマーケティングスキル」を測定するアセスメントを受けることにしました。結果、想定していたよりも自部門や関連する営業メンバーのマーケティングスキルが低いことが判明し、横展開への障害として危機感を感じたT氏はマーケティング研修の受講も検討しています。
プロジェクトは全社横軸の製品を組み合わせたサービス化や新事業の創出に向けて、新たな一歩を踏み出したばかりです。