日本ならではの商習慣に則したB2Bマーケティングを理解できた理由

業種
外資系ソフトウェアベンダーB社

規模
売上450億円

背景

中堅以上の企業をターゲットに、ビジネスソフトウェアや効率的な活用法のコンサルティングを行っている外資系企業のB社。ここ最近、B社と同様のソリューションをSaaS形態でリーズナブルな価格帯で提供する強い競合がグローバルに展開していることを受け、国内の営業・マーケティング戦略を早急に再考する必要が出てきました。

本社からは、各国で少しずつですが成果が見え始めたABM(Account Based Marketing)を日本でも検討、実施するようにとの指示が出ていました。担当するマーケティング部は本社から情報をもらいながら、国内でどのように進めたらよいかの検討を連日行います。その結果、ABMを実施するためには営業機会の創出活動(デマンドジェネレーション:Demand Generation)を目的とした機能・組織であるデマンドセンターの構築が必須だということが分かりました。
しかし、国内のマーケティング部は展示会出展やセミナー、テレマーケティング、PR活動がメインで、リードナーチャリングに関する活動を行ったことがありません。ましてやそれらを運営するデマンドセンターなど、名前は聞いたことがありますがまさか国内でそういった組織を作るなど考えたこともありませんでした。

課題

「とりあえず組織を」ところがデマンドセンター構築はそんなに甘くなく…

ひとまず本社の情報を元に、マーケティング部や営業部などから数名がデマンドセンターの初期メンバーとして招集されました。
このメンバーの一人、マーケティング部のK氏はこのときの様子を次のように振り返ります。
「まず我々が行わなければならなかったのは、マーケティングの研修でした。マーケティングの基礎から実践的なことが学べるという、グローバルで共通のオンライン教材が用意されています。しかし外国人スタッフも首をかしげてしまうほどの専門的な内容や、聞き慣れないマーケティング用語ばかりで本当に困りました。途中で何度も止めて、言葉の意味を調べてからまた見直したりを繰り返していたため、肝心のマーケティングの内容やノウハウが頭に入ってきませんでしたね」

ところが、これら教材ではどうしても今までの経験から理解できないことがいくつかありました。例えば、商習慣に関することです。この研修動画はグローバル向けということもあり決定権のプロセスがトップダウンを主眼としたマーケティング施策の話がほとんどでした。しかし、これがボトムアップの日本企業向けには紹介されているような施策や攻略法では通用しません。

それにメンバー間でミーティングを行ったときK氏が感じたのは、マーケティング用語の定義が揃っていないことや、そもそも言葉の使い方自体に違いがあることでした。
「『案件』という言葉だけでも、マーケと営業ではその意味や状態にかなりの隔たりがあって、驚きましたね。それに研修動画ではいろいろなフレームワークが出てきたのですが、双方向のプログラムではないので、それらを実際に試してみて、使い方が合っているのか、どこを改善すればよいのかなどがわからず、最後までピンときませんでした」(K氏)

マーケティングの研修に関してさまざまな問題を抱える中、ABM実施に向けたデマンドセンター構築は着々と進んでいる状況に、不安ばかりのK氏はなす術もありませんでした。

課題のポイント

  • 用意されたオンラインのマーケティング研修は日本の商習慣に合っておらず、役に立たない
  • デマンドセンターの初期メンバー間で言葉の定義などが合っていなく、話がかみ合わない
  • オンライン研修は双方向のプログラムでないので、フレームワークの理解や使い方が合っているのか、改善点などを確認する方法がない
12
ページ上部へ戻る